絵のことは画家に聞こう
図書館で、水彩画の参考になりそうな技法についての本を探していたら、こんなタイトルが目が留まりました。
『絵が上手いより大事なこと』
絵を描くからには上達しないと、と意気込んでいる私にちょっと諫言、金言、啓示めいたものを与えてくれそうな気がして手に取りました。

内容よりまず先に、表紙が美しい!

裏表紙もきれいです。
普段、図書館のバーコードは下の方に貼られているのですが、この本はクリーム色で目隠しした部分に貼られています。
司書のかたが、きれいな絵を隠すにしのびず臨機応変に貼る位置を変えたのかと想像しました。
そうだとしたら、絵には人にそうさせる力があるということでしょうか。
心に残った言の葉
内容はQ&A形式で、絵を描くうえでの心構えの質問に対し、永山裕子氏の個人的見解や意見を答えていくものです。
私の心に残った、これから絵を描いていくうえで力がもらえる印象的な言葉や文章を挙げてみようと思います。
「自分の絵」描いているんだから目標はもちろん自由。それでよいと思う。私自身はきれいな絵を描くという気持ちで描いたことがないので、アドバイスとしては、きれいだと思わないようなものも含めて、色々なものを描いて視野を広げるべきだと言いたい。
P12
きれいなお花、誰もが感動するような絶景を描きたくなりますが、ただ目の前に転がっている、しまい忘れたスプーンや捨てる前の空き缶でもなんでもモチーフにできるということでしょうか。何描こうか困るとき、つい、整ったものを探しがちな気がします。
夢中になって描いた絵は、形が合っていなくても明暗がおかしくても、描写力を超える魅力がある。
P44
完璧主義な私は「なんか変」「色が合ってない」とか理由をつけてなかったことにしたくなります。そういったものにも愛着が持てればいいんですけど……。
「本当にこんな風に見えてるの?
(中略)
「こう見えたら幸せ」と思っていてそれを紙の上で実現したいのだ。
P112
背景を描くときどうしたらいいか困ります。リアルな描写をするにはまだまだ技術が未熟で。だからこの言葉に勇気をもらって、ただ好きなように塗ってみればいいんだ、と思えました。
「こんなのが好きだと言ったら笑われるかな」とか「こんな描き方をしたら怒られるかな」ではなく、まずやってみる。
P135
私は大胆な色遣いにあこがれてるけど、なかなか実践できません。べつに他人に評価してもらうわけでもないのだから、好きに色を載せればいいのにね"(-""-)"
自作を評価するポイントは「納得いくようにやってみたかどうか」だ。
P138
自分なりの絵ってどう描いたらいいんだろうと試行錯誤している最中です。納得いくようにやってみた先に自分らしい作風というものが出来上がるのでしょうか。楽しみですね。
「よい絵」の定義は人の数だけあるので、自分の絵は自分の鏡だと思って描くしかないと思う。
P143
「これを描きたい」「この色にしたい」「この明るさにしたい」はまさに自分の心。
本当に絵は自分の心、感情を写し取ったものかもしれませんね。
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著者プロフィール
永山裕子(ながやま ゆうこ)
透明水彩画家。1963年東京生まれ。東京藝術大学油画科卒業、同大学院修了。
澄んだ透明感と力強い筆致を併せ持つ水彩画で知られ、花・静物・風景・人物など多彩なモチーフを描く。国内外で高く評価され、多くの個展を開催。ライブデモンストレーションや技法書の執筆を通じ、水彩表現の魅力を広く伝えている。
元・武蔵野美術大学非常勤講師。現在も創作と教育の両面で活躍中。
読み終えて
著者は絵の構図を最初考えていたものとはやっぱり違うほうがいい、と思うと、それまで描いていた紙を切ったりするそうです。
心のおもむくままに創作されているんだなぁと思いました。
自由に描けばいい。ということを教えていただきました。
それから、「カラリスト」「トーナリスト」という言葉を知りました。
カラリスト
色彩に強い関心を持ち、色の表現を重視する画家や画風を指す。
鮮やかで多様な色彩を使って感情、光、雰囲気を表現する。現実の色より色そのものを主体にする表現が目立つ。
トーナリスト
明暗の微妙な変化やグラデーションを重視し、調和のとれた雰囲気や空気感を表現する画家や画風を指す。
色彩は控えめで単一の色調を多く使う。光と影の繊細な移ろいを重視する。輪郭はあいまいになりがち。ぼかしやグラデーションが多用される。
私はどっちが好みかな?
これも「納得のいくように」やった先に見えてくるものなのでしょうね。